ハンニバル!
カルタゴの名将!ハンニバル!
ドッゴオオオーーンッ!!

「うォおおッ!!なッ?なんだァ!!」

突如として海賊船を襲った衝突音!巨大な海賊船が右に左にグラグラと地中海の波間に揺れた!甲板でソニアをレイプしていた海賊たちが驚いて口々に叫びを上げる!!ソニアは50人近い海賊たちにかわるがわる激しい輪姦を受け続けていた疲労の為、グッタリと目を閉じたまま甲板に横たわり動かない。

「いけねッ!見張りまで加わってたもんだから暗礁にでも乗り上げたか?船長にどやされるぞ!!」

「急いで下の船室を見るんだ!浸水してるかも知れん!修繕用の板と釘も取りに行けッ!!」

そうやって海賊たちが騒いでいるうちに船の揺れが少し収まって来た…その時である!

「おッおい!あれを見ろ!人だ!」

「ま…まさか!海の上を歩いてる?」

それは片手に斧を下げた少女であった、少女は何もないはずの海面を海賊船に向けてスタスタと歩いてくる、少女は海賊たちの顔が見えるくらいまで船に近づくと己の頭上で自分を指差しながら騒ぎ立てる男たちを無表情で見上げた、とその時!少女の足元が激しく泡立ち巨大な水柱となって少女を海賊船の甲板以上の高さまで押し上げた!甲板全体に頭上から降り注ぐ大量の水しぶき!そのあまりの異常な事態に唖然とする海賊たち、その水しぶきの奥から現れた影の正体は海賊船よりも遥かに巨大な一頭の象であった!!長い鼻の両脇には鋭いキバが生えている、象の左目は戦いによる傷によるものか完全に潰れており残った巨大な右目が鋭い眼光を放ち海賊たちを見据えていた、興奮しているのか…その瞳はまるで狂ったように血走っている。

「ハシュドルバル!ど〜ど〜!」

象の頭の上に立っていた少女は片ヒザをついて象の毛だらけの頭を撫でながら無表情でそうつぶやいた、ハシュドルバルと呼ばれた巨大な象はその少女の言葉に応えるかのように長い鼻をゆっくりと持ち上げると真上に向けて噴水のように海水を噴き出しパオ〜ンと巨大な鳴き声を上げる、その咆哮は非常に大きくまるで空全体を震わせているようであった。
ハンニバルの象!ハシュドルバル!
「ハッ……ハンニバルだーーーッ!!」

甲板にいた全ての海賊たちの表情がみる間にこわばってゆく!そして我に返った者から手近な場所にある武器を手に取り始めた!その様子をつまらなさそうに無機質な表情で見下ろしている紫色の髪をした少女…少女の名はハンニバル!カルタゴ軍を率いる名将であった!

「臭い……オマエらからは洗ってないゾウの臭いがするの」

ハンニバルは手斧を持った手とは逆の拳を握った状態で腰に当てると相変わらず無表情な顔のまま海賊たちに向けそうつぶやく。

「弓だーッ!!全員で狙えッ!」

一番先頭にいた海賊が鬼の形相でそう仲間たちに向け叫んだ、ロングボウを所持する数名の海賊たちが全員でハンニバルに狙いを定めた!

「射てえィッ!」

海賊たちはハンニバルの恐ろしさを十分なほどに知っていた!だが、恐怖のあまり判断を誤ってしまっていた!戦うべきではなかったのだ!弓を引いているヒマがあったなら何としてもこの場から逃げ出すべきであった。

ブオオオンッ!

海賊たちの弓矢が放たれたと同時にダラリと下がっていた象の鼻…ハシュドルバルの丸太のような鼻が唸りを上げて回転し全ての弓矢を弾き飛ばす!同時にハンニバルが甲板へ向け跳躍した!

「…死ね!!」
全体重を乗せた必殺のスタンプ!
ハンニバルは無表情だった口元に静かな笑いを浮かべると指揮を執っていた海賊の顔面に皮製のサンダルを履いた両足をきれいに揃えて全体重を乗せ急降下するとスタンプ攻撃を加えた!

バキュッ!!

「ほがッ!?」

折れた鼻から真っ赤な血を吹き出しながら後方へ吹っ飛ぶ海賊!ハンニバルはそのまま空中で体を捻りバク転すると着地した、そして床に全身を投げ出す形で転がると目にも止まらぬ速さで回転しながら周囲の海賊の足を手斧で薙ぎ払った!
回転しながら足薙ぎ!
足の腱や筋肉を切り裂かれ悲鳴をあげながらたまらずその場に崩れ落ちる海賊たち!その倒れた海賊たちの頭蓋をハンニバルは天高く振り上げた手斧の一撃で手際よく次々と叩き潰してゆく!

グシャッ!!ベギッ!!バギャアッ!!ゴギィッ!!

ハンニバルの小さな肉体からは想像もつかないほどの強力無比な打撃に次々と昇天してゆく海賊たち!霧のように吹き上がる鮮血!たちまちハンニバルの手足や胸元が返り血で赤くなった!

「弱い…全然手ごたえがないの…オマエたち!もっと必死にあがいて抵抗するの〜♪この私を楽しませるの〜♪」

突如現れたハンニバルの存在は50人近い屈強な海の男たちを完全に圧倒していた、その白く細いボディには胸と股間を覆う小さな甲冑がついているだけで彼女の美しい筋肉のラインがうっすらと浮かび上がっている、決して華奢ではないが岩のようにゴツゴツしているワケでもない…そんな絶妙なバランスを保った美しい肉体だった!



一方その頃…船室では。

「クソッ!なんだったんだ?さっきの白いキバみて〜なのは?伝説の一角獣でも船底にぶつかったか?開いた穴から水がドンドン入ってきやがる!手下どもは何やってんだ…まさか、見張りも立てずに遊んでいたワケじゃねーだろうな!」

ハシュドルバルのキバがぶつかった海賊船の船底では激しい浸水が始まっていた、アルティミスの奉仕が終わったあとアルティミスのお尻の穴を犯そうとしていた海賊のリーダーはこの思いもよらぬ事態に焦っていた。

「オレたちゃ泳ぎは得意だが人ひとり抱えて海の上を泳ぎ続けるのは至難の業だ…やむおえん!アンタに死なれてはシラクサとの取引ができなくなっちまう!それでは元も子もないのでね!溺れ死にしたくなけりゃ自分で泳ぎな!」

男はそういうと腰につけていた短いナイフでアルティミスを拘束していた縄を切り裂くと自分の涙と男の精液で顔をぐしゃぐしゃにしていたアルティミスの手を引き甲板へと向かう、それが己の寿命を縮めることとなるとも知らずに…。

ゴシャッ!!

「うぎゃああ〜ッ!!」

バギッ!!

「ぐゥへェッ!!」

ハンニバルの動きは野獣のように軽快で素早く海賊たちは乱れた隊列の端から削り殺されてゆく!ハンニバルの手斧による一撃で斬り落とされたり潰されたりした海賊たちの腕や足が甲板にベチャベチャと散乱してゆく…それはまさに地獄絵図!

必死に抵抗しようと試みた者もいたが彼らのナイフや斧は目にも止まらぬ速さで跳躍し転げまわるハンニバルの体にかすりもしない、人数は男たちの方が多かったがこれほどまでに戦いの技量が違うとほとんど一方的な殺戮に近かった!
血濡れの甲板に驚くキャプテン!
その殺戮も終わりに近づいた頃騒ぎを聞きつけた海賊のリーダーがアルティミスの手を引き甲板へと走って来た!そこで彼が見たものは!

「ううッ!こりゃ一体どうしたことだ?」

酷い臭いを放つ血まみれの甲板であった、その血まみれの甲板に転がる屍たちの中央に彼女は居た、血まみれの手斧を持ち逆の手のにぎり拳をくびれた腰に当てて悠然と立っているその少女はアルティミス姫の存在に気が付くと生き残った海賊たちを目で威嚇しながらこうつぶやいた。

「我が宿敵!ローマの海軍が不穏な動きをしていないか偵察のつもりで出てみれば…思いもよらぬ収穫なの♪そこにいるパノルムスの姫君をこの私に引き渡すの!そうすればオマエらは見逃してやっても良いの〜!命が惜しければ大人しく従えなの♪」

ハンニバルの鬼神の如き立ち回りに戦意を失いかけていた海賊たちはそれを聞くと急いでリーダーに詰め寄りアルティミスをハンニバルへ引き渡すように説得を始める始末であった。

「馬鹿ったれー!オレたちゃ泣く子も黙るキリキアの海賊だぞ!そんな情けない真似ができるかァッ!!」

それはつまらない男の意地だった、空気を読まない海賊のリーダーの発言はハンニバルの怒りの導火線に火をつけた。

「じゃあ…死ね♪なの♪」

そう言うが早いかハンニバルの手斧が凄まじい勢いで手元から放たれるとブオオオンッと周囲の空気を切り裂き海賊のリーダーの胸元にドカリと深く突き刺さった!顔面に怒りの表情を焼き付けたまま一瞬で絶命し崩れ落ちるリーダー。

「うひゃアあァ〜ッ!!ばッ化けモンだぁ〜ッ!!」

恐怖と絶望にかられた海賊たちは武器を捨て沈み始めた船の上から海中へ!我先にとダイブし始めた!

ハンニバルは戦意を失って逃げ出した彼等を追いかけることもせずつまらなそうにその様子を眺めていた、アルティミスは近くに落ちていたロングボウを拾い上げると逃げる海賊たちの背中に憎しみと怒りを込めて矢を放ってゆく!その顔は真っ赤になり屈辱の色が滲み出ていた。
海賊たちに輪姦され倒れているレッド・ソニア
ハンニバルはその様子を見てクスリと笑う、同時に足元にハダカで倒れている赤い髪の女に気が付いた、その女は男たちの精液にまみれて酷い臭いを放っている、先ほどハンニバルが感じた「洗ってないゾウのような臭い」はこの赤い髪の女が原因のようだった。

「…まさか?なの」

たくさんの傭兵たちを従えるハンニバルの耳には女戦士レッド・ソニアの噂も当然のように入ってきていた、特に彼女の母のハミルカルは強い女性が大の「好物」でありソニアのような女性をコレクションとして集め己の身辺にはべらせ夜の伽をさせていた、ハミルカルは常日頃から女戦士レッド・ソニアを所望しコレクションに欲しがっていた。

「これはこれは…母様に良いみやげができたの〜♪」

ハンニバルは海賊のリーダーの胸元から手斧を引き抜くと手近にあった水の入った桶を倒れているソニアの頭上で逆さまにし大量の水をかけソニアの全身を汚していた精液を洗い流した。

それから甲板に散乱していた彼女のモノらしき装備を全てかき集めるとハシュドルバルの鼻に自分の手斧と一緒に乗せた、ハシュドルバルはそれらの武具を器用に自分の背中の上に乗せると満足そうにパオーンと鳴き声をあげる。

「さて…と、そろそろこの船も限界が近い、とっととカルタゴへ引き上げるの」

海賊船が沈むまでもう時間がないと悟ったハンニバルは自分に対して礼を述べるアルティミスの言葉を静止すると象の鼻に乗るように促した、自分は気絶しているレッド・ソニアを両肩にかつぎ上げそのままハシュドルバルの頭の上まで軽く跳躍する!ハシュドルバルは鼻の先を錨の先端のように丸めるとその上に足を乗せたアルティミスをまるでクレーンのように持ち上げて広い丘のような自分の背中へと降ろした、ギシギシゴボゴボと大きな音を立てて船体を斜めにしたまま海中へと沈んでゆく海賊船、生き残った海賊たちは全員が泳いで遠くへと逃げ去ったようだった。

「あ…あの?失礼ですが貴女は?」

まだ気絶しているソニアをゾウの背に横たえるハンニバルに対し恐る恐る口を開くアルティミス、しかしハンニバルはその問いには答えず象に向けてこう叫んだ。

「ハシュドルバル!」

パオーン!とハンニバルの言葉に鳴き声で答えたハシュドルバルは体の向きを変えると鼻の先と頭部、背中だけを海面に出して足を動かしカルタゴの方角へと泳ぎ始める、ザザザザと静かに波をかき象の巨体が前進してゆく、移動を始めたのを確認するとハンニバルはアルティミスの方を向きあぐらをかいて座り込むとこう答えた。

「もう間もなく陽が沈む、夜の海は視界が悪く危険なの!パノルムスの姫君!とりあえず私の国、カルタゴへ一緒に来るがい〜の!詳しいことは後で全部話してやるの!」

ハンニバルはアルティミスが頭につけている宝石付きの銀の頭飾りで彼女の正体に気が付いているようだった、相手の正体がわからない不安で心を一杯にしていたアルティミス姫は行き先がカルタゴであることにホッと安堵すると自分たちの窮地を救ってくれたこの少女の言葉に大人しく従うことに決めた、ハンニバルはソニアに自分のものと思われる紫色のマントをかけると鼻歌を歌いながら海賊たちの血で汚れた手斧の掃除を始めた、ハシュドルバルにもその楽しげな鼻歌が聞こえたのかそのリズムに合わせて鼻の穴からプシューップシューッと息を吹き出していた。

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